思えば、95で直腸がんを取り除き、97では折れた大腿骨にボルトを入れ、歩いて帰ってきました。
98で転倒して腕を折っても、またまた金具を入れてリハビリを重ね、歩行器を操るように。
退院が見えた矢先に、腸閉塞をおこして コロナ禍が重なり、介護施設に入りました。
99歳のことです。
祖母サキコは不屈の精神で、何があっても自力で立ち上がってきましたが、コロナ禍で外出禁止。
ついに施設から歩いて帰る夢は叶いませんでした。
一昨年の6月には心不全をおこし、もう長くないと聞いた時、
おしゃべり好きな祖母は、コロナで誰にも会えないことが影響してるのかも?!と、なるべくオンライン面会をしていました。
隔週でオンライン面会するうちに、メキメキと復活。
ようやく対面でも再会を果たせました。
100歳を迎えた時、祖母サキコが言うには、
人間に訪れるあらゆる苦悩を体験して、乗り越えたとき、親子のちぎりをかわそう。と、仏さまが約束してくれたそうです。
いつ、どんな時に言われたんだか、曖昧な話でしたが、オンライン画面越しに「これで修行も終わりだと思うの」というので、
「しっかり覚えておくよ」と言うと、満足そうに笑いました。
しかし、その後も人間修行はまだまだ続き、2月にまた骨折して、とうとう寝たきりに。
よく眠るようになり、見えないものとおしゃべりするようになり、だんだん目の前の人より、空にいる人との会話が増えました。
オンライン画面越しに、私がいるなど認識できず、それでもたまに笑顔を見せました。
亡くなる二週間ほど前に会えた時も、やっぱり夢の中。
またお正月に会おうねと声をかけた時、私は祖母が永遠に生きるような気がしました。でも、人間ていつか寿命が尽きるんですね。
12月5日、お昼ご飯をたいらげ、おやつも食べたあとに体調が急変。
30分前までオヤツを食べていたのに、あっという間の大往生だったそうです。
コロナ禍でなければ、もっと出来ることがあったのに。と、悔やむこともありました。
でも、祖母はどうやら施設で楽しんでいたようです。
祖母サキコ、天晴れな101年の幕引きです。
ようやく人間修行が終わり、仏さまはお迎えに来られたのでしょう。
帰りたがっていた祖母の部屋から見た空。
祖母が愛でた庭には南天の実がいろづいてました。
大正生まれで戦中戦後を生き、どんなときも自力で立ち上がり、奇跡を起こす佐紀子は自慢の祖母でした。
私も命を使い切るその日まで、何事も楽しもうと思います。
1月17日(月)から、二週にわたってNHK-FMで放送されます。
原作は、気鋭の小説家・浅倉秋成さんの話題作で、就職活動の現場を舞台にした青春ミステリ―です。
若者ののひたむきさ、焦燥感、浅はかさ、人間の裏表など、ミステリ仕立てで描いたエンターテインメント
!
どうぞ小説とあわせてお楽しみください。
放送終了後から一週間は聴き逃し配信もあります!
宜しくお願い致します。
青春アドベンチャー
※配信期間は放送から1週間
成長著しいIT企業の新卒採用で最終選考に残った波多野祥吾と五人の就活生。彼らに与えられた課題は、最終選考までにメンバーでディスカッションを重ね、チームを作り上げるというもの。全員で内定を得るため交流を深め、互いに友情すら感じる祥吾たちだったが、本番直前に課題は変更され、自分たちの手で一人だけ内定者を選ぶことに。突如ライバルとなり、たった一名の採用を賭け競い合うことになった六人。そして最終選考当日、思いもかけず寄せられたそれぞれの「裏の顔」へも告発に、六人は翻弄される。果たして内定を勝ち取るのは誰か、そして告発の犯人とは…!?
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一生懸命生きているうちに、自分自身に失望してしまい、生きることを手放したくなったヒロインが、
様々な人たちの生きざまに触れるうちに、明日を迎えることに踏み出すお話です。
生きるってなんだろうね?
そんなことをフラットに語らいながら作りました。
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今回、舞台となった「真夜中に開く古本屋」は、尾道に実在します。
物語の内容や登場人物はすべてフィクションですが、ステキな雰囲気のこのお店にシナハンをさせていただきました。
シナハンをさせていただいた尾道にある「弐拾dB」さん→お店のFacebook
古民家を利用したとても味わいのある空間です。
この店主の方のお名前を一字拝借して、橋本淳さん演じる人物に「モト」と名付けさせていただいております。
(人物やエピソードはあくまでも創作で、ご本人のプライベートとは無関係です☆)
そして今回は、現代詩歌界の山?修平さんから、詩を書きおろして頂いています。
そちらもどうぞ、お楽しみに。
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【スタッフブログより】
二週間にわたりお届けする、15分の前後編ドラマ×5話の連作ドラマがスタートします!
青春アドベンチャーという枠で、何か新たな試みは出来ないだろうか――。
そんな気持ちから、ディレクターと作家5人が集まったのは1年ほど前。
まだ「新しい日常」なるものが生まれることなど、思ってもみない頃でした。
それから間もなく、わたしたちの生活も常識もドンドン変わり、時に混乱し、時に動揺を飼いならしながら過ごす中で、こんなドラマを考えました。
とある町に出現した「穴=シンクホール」
「穴」の存在に、周辺の人々の生活は徐々に変化を遂げていく。
噂に惑わされる者もいれば、見ないふりをする者、自らの罪を告白する者…
善意が迷惑をかけ、時には裏の顔を見てしまう――
全10回(前後編で全5話)を通じて、非常時における人々の姿を5人の作家がバリエーション豊かにお届けいたします。
★シンクホールとは・・・地下水による浸食や化学変化によって地下内部に空洞が発達し、地表が突然崩落する現象のこと。
青春アドベンチャー
「シンクホール」(全10回)
★番組詳細はこちら★
★スタッフブログも更新中★
戦後1年目のヒロシマで、素人のど自慢大会が開かれたという事実を元に、
まだ戦争の傷跡が生々しい中で、歌と共に立ち上がろうとする人々の姿を描いています。
井之脇海 芋生悠 宇梶剛士
西藤将人 武田琉生 かみもと千春 坂田光平 多田羅郁恵
中野悠甫 ピーター・コーダス 松陰未羽 尾山咲乃
藤井香織
【スタッフ】
制作統括:竹下健一郎
技術:川井彩耶
音響効果:嶋野聡
演出:池田桃子
(広島局制作)
昭和21年9月。原爆投下から1年あまり――。
音楽好きで明るい青年、水谷輝は戦地から復員し、原爆で焦土となった故郷の広島に帰る。
町一番の歌姫だった幼馴染みのナツと再会するも、原爆をきっかけに塞ぎ込む様子が気にかかる。
勇気づけたい輝は、ある日ラジオから流れてきた“素人のど自慢大会”を耳にする。
「これを広島でやって、みんなを元気にしよう」
輝の声かけで、戦争で傷ついた人たちが仲間として加わり、開催準備に奔走する。
さまざまな出会いの中で、輝が蓋をしていた心の傷も次第に浮き彫りになり・・・。
「75年は草木も生えない」と言われたヒロシマの街。
実話をもとに、被爆直後の広島で、のど自慢大会に自らの希望をかけた人々を描く。
◆◆◆◆◆
取材では、被爆者の方々のお話を伺いました。
ただ日々を普通に生きていた人たちが、全てを壊された凄惨な事実。
「本当のことなんです、大げさでもなんでもなく、そうだったんです」
あの日のこと、それからのことを語られた被爆者の方の眼差しを、私は忘れません。
「久しぶりに音楽が耳に入ってきて、うわーーーっと力が湧いた。このまま死んでなるものか」
原爆症に伏していた時、終戦後に流れたラジオによって生きる力を得た被爆者の方。
当事者だけが持つ感情。その事実と共に、長い時間を歩んでこられたこと。
その歩みが、今という未来につながっているのだと、強く感じました。
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5月6日(水)14:10〜 NHKラジオ第一放送(AM局)にて、
全15話を一挙放送です!
番組詳細はこちら→https://www.nhk.or.jp/audio/html_se/se2017016.html
このドラマは、須賀しのぶ先生の長編小説を脚色させていただいたものです。
第二次世界大戦が勃発し、世界が分断された時代――。
ナチスに蹂躙されるポーランドで、日本人外務書記生が人々の想いをつなぐために奔走する物語。
昨今の状況にも通じるドラマで、この人物たちに想いを馳せると、
ほんとうに人が大事にするべきものは何だろうか。
今また、心の素養が問われる時代が来たな、と思います。
未来永劫、忘れたくないことが詰まっているお話です。
聴き逃し配信もございますので、ぜひおうち時間にお聴きください!
※以下番組HPより
【出演】
井上芳雄 中川晃教 坂本真綾 鈴木壮麻
亀田佳明 栗原英雄 菅生隆之 豊田茂
水野ゆふ 秋山エリサ 長谷川敦央 谷田歩
山本道子 粟野史浩 梶原航 林次樹
山本与志恵 佐古真弓 石橋徹郎 今泉舞
藤村真優 杉村透海 山崎智史 青木柚
山田瑛瑠 小嶋一星
【原作】
須賀しのぶ
【脚色】
藤井香織
【音楽】
山下康介
【スタッフ】
演出:藤井靖
技術:林晃広 山田顕隆
音響効果:石川恭男
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1話目は1月2日(元日の深夜)0時〜「憂鬱な分身」
2話目は1月3日(2日の深夜)0時〜「雪山の幻想」
3話目は1月4日(3日の深夜)0時〜「思い出のBAR」
時間帯は日付が変わる深夜0時〜0時50分まで ですので、お間違いなく(^^♪
番組ホームページ→★より。
【番組紹介】
エッセイ風の物語をクラシックの名曲を交えてお届けします。
語り手は、テレビや映画、舞台で活躍中の俳優・佐々木蔵之介。
スクリプトは、数々のラジオドラマを手がけている脚本家・藤井香織がミステリアスな新作3話を書下ろしました。
語りと音楽が織りなすドラマチックな世界を心ゆくまでお楽しみください。
この講座は、諫早図書館の名誉館長、故・市川森一先生が、故郷の諫早から脚本家を生みだそうということで始められた試みです。
2011年に市川先生が亡くなられたのち、劇作家の高谷信之先生が御遺志を継がれ、毎年、夏と冬に講義をされています。
受講者の皆さんはとっても熱心な方ばかり。
初めて書く方、コンクールに挑戦されている方、中には中学生の姿も!
午前中は高谷先生とご一緒に、脚本の着想や台本作りについて体験談をお話ししました。
午後はゼミスタイル。皆さんが事前にお書きになった原稿を読み、直しについてアドバイス。
とても真剣に耳を傾けてくださいました。
この中から改稿を経て1作品が選ばれ、短編ラジオドラマとして制作されます。
どなたの作品が具現化されるのか、私も今から楽しみです。
諫早図書館には、市川先生のデビュー作である「怪獣ブースカ」から遺作となった「蝶々さん」まで、数多くの資料が蔵書されています。
温度、湿度などが保たれた貯蔵室に入れて頂くと、直筆原稿や制作ノートの数々。
貴重過ぎて目がくらみました…!!
資料の棚を見渡すと、ジャンルも媒体も多岐にわたり、ダイナミックなうえ、猛烈に多作。
市川先生のエネルギーが、今もなお伝わって来るようでした。
初めての長崎、初めての諫早でしたが、ほんとうに有難い時間でした。
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日ごろフィクションを考えているけど、これは、なんの展開も展望も見いだせないリアルな出来事だった。
誰も悪くないし、みんなで事故にあったようなもの。
ゴールめがけて全力疾走したら、全員で見えなかったガラス戸にぶち当たったような感じ。
悲しみとも怒りとも違う、無に近い感情。
と、いうか、あまりのことに感情が何も湧かないのだ。
やるせない、とはこんな時に使うのかもしれない。
そんな10日余りを過ごし、色んなことを感じた。
なにか起きた時の反応、その後の対応で人の素養や本質が見える。
おおげさに言うなら、生き様が見える。
自分の考えかたの芯が見えたような気もする。
ただ、身に起きたことは引き受けていきたい。
なんだか腹が据わった2019年師走のはじまりでした。