酷暑なので、あまり飲まないジュース類も今年は多く飲んでしまう。
あまり見かけないファンタレモンを見つけると、父を思い出す。
(ちなみに父は存命、いまも元気いっぱいです)
血の気が多く、言葉も荒く、笑わない父は、かつて近所の子供に『ダイモン』と囁かれていた。
ダイモンとは、ドラマの西武警察に出てきた、角刈りにレイバンのサングラスで機関銃を撃ちまくる、渡哲也さん演じる大門刑事である。
父は躾も厳しかった。
箸の持ち方が悪いとど突かれ、
早く寝ないからとど突かれ、
字の大きさを揃えて書けないとど突かれ、、、
まあ、よくど突かれた。
ある晩、夜中に目覚めたとき、父がファンタレモンを飲んでいた。
いいなー、ずるいー
と、言ったら『素直さがない!』と怒鳴られた。
夜中に大声で、である。
私にもちょうだい、と素直に言うべきだ!
というのが、父の言い分だ。
私も頭にきて『いらん!』と言ったら、またど突かれた。
今思うと、強情な六歳児である。
えー、じゃあちょうだい!
と言えば済んだだろうが頑なに拒否して、可愛げがない!と、ど突かれたのだ。
いま、ファンタレモンを見かけ、ペットボトルでガブ飲みしたら、
大人になった達成感をかんじる。
だけど、自由にジュースを飲めない子供が、
夜中にひとくちもらうファンタレモンは、きっと格別な味だったかもしれない。
あのとき、ちょうだいと言っても良かったのかもしれないなあ。
私も歳を重ね、丸くなったものである。